ボルネオ島は1億年の森!?

 東南アジアの真ん中あたりに浮かぶ赤道直下にあるボルネオ島…2007年に初めてボルネオ島を訪れた私は、インドネシアの環境NGOに連れられて4時間ほど歩いた先に辿り着いた大木に圧倒されました。樹齢何百年…いや、もっと!?まるで精神が宿っているかのような大木の周りにキャンプを張って一泊。朝、大地が揺れるような鳥と虫の声で目が覚めました。遠くから聞こえる「ホーーォッウ」という雄叫びはテナガザルでした。

 日本の国土の二倍ほどあり、かつてほぼ全土が原生林に覆われていたボルネオ島の熱帯林は、ここにしかいない野生生物の宝庫です。1億年以上前に誕生したと言われる被子植物の花粉は昆虫を惹きつけ、果実は鳥類を惹きつけ、哺乳類が発達し、生きものの楽園が生まれました。かつて大陸とつながっていたこの地域は、氷河期も温暖な気候が続いていたために多くの命が残り、1万年前に海面上昇で島となってからは貴重な生態系のタイムカプセルとなったのです。