熱帯林を守る仲間たち

ボルネオ島など東南アジアに広がる熱帯林は、1990年からの20年間で関東地方より広い350万ヘクタールもの森林が破壊され、アブラヤシのプランテーションへと転換されました。野生生物の生息地が奪れただけではなく、先住民や地域住民に対する土地収奪や住環境への影響も計り知れません。ウータン・森と生活を考える会のメンバーは、インドネシア中央カリマンタン州で、地域住民の先祖代々のお墓が企業による開発で破壊されたり、生活用水が農園からの農薬で汚染される現場を見たりしました。

一方で、ジャワ島やバリ島からの移住政策もあって人口が増え、貨幣経済の流入や生活の近代化が進んだことで(村の若者はみんなスマホを持っています!)、ボルネオ島の村では定期的な収入を得られる機会としてアブラヤシ農園を歓迎する人もいます。子どもが高校や大学へ通うために下宿すること、親が仕事でバイクを使うことで現金が必要なことを否定することはできません。NGOメンバーとして働いていたアドゥさんは、環境や生活への影響を懸念してハラパン村でのアブラヤシ開発に反対しましたが、「お前は俺たちの生活を保障してくれるのか?」と言われて返す言葉がなかったと言います。

時がたち、周りの自然環境が変わっていく姿に思い直してアブラヤシ農園の仕事を辞め、持続可能な形での村づくりを行いたいと願うハラパン村の若者たちが青年団を結成し、在来種の苗づくり・植林やエコツーリズムを始めました。地域住民抜きに熱帯林保全を行うことは難しいですが、国を超えた仲間と共に持続可能な未来をめざすことは面白く、そこにNGO活動の醍醐味があるといえます。

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